The Livermore Formula for Combining Time Element and Price

www.amazon.com

 

実験科学者が実験する思考回路で、市場の価格を研究しているのが印象的。

1. Challenge of Speculation

投機とは、価格変動を予測することに他ならない。 

 科学的、というが価格が論理に基づかないことも多々あることを第一に強調している。

例えば、価格が上昇すると思われる要因があっても、上昇しないことは多々ある。

ある情報が公になったとき、市場に与える影響を頭の中で分析してみる。この情報が一般大衆、特にその情報に関心を持つ人々に与える心理的影響を予測する。 

注意:その情報が市場に明確な影響を与えると確信しても、市場の実際の動きによってその考えが裏付けられるまで、投資に入らない。

 → 上昇すると思っても(価格が割安だと思っても、)購入するタイミングが正しくないと結局損をする。以下の例は自身も良く失敗する。

ある銘柄が$25でかなりの期間$22-$28の圏内で動いているが、この株が$50になると予想しているとする。

この時、新高値(~$30)を更新するまで我慢して待つ。この時、自身の考えが正しいことを市場が証明し、上昇相場に入ったと考えてよい。

($25で購入しなかったことを後悔してはならない。)

さて、翌日$32に急騰したとする。その際、下がることを気にして利確してはならない。(前日に存在しなかった$2の利益を失うことを何故恐れるのか?)。その株が正しく動き、マーケットが正しいのであれば、利食いを焦ってはならない。マーケットが不穏な動きを見せない限り、信念に従って、その上昇に乗り続ける。

 

逆に、損を出したときは、手早く損切するべきである。

投機家は初期の少額損失を受け入れることで、大きな損失から身を守るべきである。

 

この本の一番の主張は下記にある。

マーケットが大きなトレンドを形成し始める時期は必ずある。そして投資家の資質と忍耐力を併せ持つ人は、最初に仕掛けるべきタイミングを正しく判断するための独自の手法をもっている。

投機を成功させるのは、ヤマ勘ではない。一貫して成功するためには、投資家や投機家は自らを導くルールを持たなければならない。

そして、ルールを作るためには、日々の値動きの記録をつけ、そこから様々なアイディアを試すことである。(この点は実験科学と似ている。)

 

Livomoreは"buy & hold"戦略の危うさを指摘している。

これはQE以後株価が一本調子で上昇している今ころ気を付けたいことである。

"株は投資のために買っているんだし、株価は下がってもいつかはまた上がってくるものだから"、という自称投資家を良く見かける。しかし、投資に最適だと思った株の多くは、ある時投機的な株になる。

これは、永久に持ち続けようと投資したはずの株について、将来その収益力を脅かすような状況に陥る可能性を認識しなかったことによる。

よって投資家は、投機家と同様に資産管理を行わなければならない。

例)1900年には鉄道株が確実な投資とみられていたが、1940年には紙同然になっていた。($250 -> $0.5に!!!!)

こうして素晴らしい投資は崩壊し、それに伴って"投資家"の財産は絶え間ない富の分配に飲み込まれていく。投機による損失額は、”投資家”が失った莫大な損失額と比べれば少額であろう。

 

Livmoreの投機の原則 (順張りのルール)

1. 価格が高すぎるという理由で株を売ってはならない。

$10が$50になったとき、$150に上昇するか否かを考えるべきである。

多くの人は、株価が"高すぎるように思える"という理由から空売りして、投資資金を失ってきた。

 

2. 高値から下落しているという理由で株を買ってはならない。

その下落には十分な理由がある。例え現在の水準が安いと思われても、まだまだ高い可能性がある。

 

(より具体的な原則としては、)

1. 株価が上昇しているとき、新高値を付けると買いに出る。

 

2. 最初のポジションで損が出ている場合、絶対ナンピンしない。

 

2. When does a stock act right?

個々の銘柄はそれぞれ独自の動きをするが、概ね下記のような動きをする。

1. 定常状態;ある値の範囲内で収束している。

2. 次の定常状態への遷移・・・

株価が動き始めた初期は、出来高の急増とともに徐々に価格が上昇する。

その後、"normal reaction"(一過的な下落。一部の投資家が狼狽し利確)がおこる。その際、株価上昇中に膨らんだ取引高は一気にしぼむ。(これは正常な動き。)

一両日中に上昇が再開される。

→このサイクルの繰り返し。

3. 株価が極大値に達し、下落が始まる。

→このタイミングを常に気を配るべき。何かしらのルールを設けることである。

(Livamoreは一日での下げが10%、は一つの危険シグナルとしていた。)

 

さて、このような機会はどの程度訪れるのか?

一年に1-5回。

トレードしない間は、マーケットが始動して次の大きな動きが現れるまで静観する。

 

あなたが何もしていないとき、明けても暮れてもトレードしている投機家たちが、次に投機するための足場を固めてくれる。

投機はあまりにも人を興奮させる。

殆どの人は小さい値動きに心を奪われ、大きな値動きを見落としてしまう。

 

3. Follow the Leaders

<大きな流れを見失わないための指針>

- 日々の価格変動に囚われない

- マーケットを打ち負かそうとしない

- マーケット全体に手を広げない。

→特定の一業種に明確なトレンドが発生したら、それに乗るべきである。しかし、他の業種で同様のトレンドが同時に起こるとは限らない。我慢して待つ。

 

具体的なアドバイス

価格変動について調べるのは、その日に顕著な動きをした銘柄のみにしよう。活況に取引され市場をleadするような銘柄から利益を挙げれないなら、マーケットから利益を上げられるはずがない。

 

株式市場では、常にleaders (先導株)がいる。(2010年以降はtech産業。これはETFがある現在は容易に特定できるはず。)

Leadersが動くと市場全体が動く。

先導業種から二銘柄を選んで、その経過を正確に分析できれば十分である。(今ならAMZNとGOOGLとか)

そして、先導株は常に変わりうる。

 

4. Money in the Hand

大きな損失を出さないためのアドバイス

1. 全ての資金を一つの投機に投入しない 

2. 短期間で急激に利益を上げようとしない

3. 獲得した利益の半分は次の投資には使わない

→再投資の否定。

4. 利益は現金として引き出す。

心理的な幸福感を得られる。平均的な投機家は、こういう問題には極めてルーズである。投機家が幸運にも元本を二倍にできたら、一刻も早く儲けの半分を引き出して貯蓄に回すべきである。

 

5. The Pivotal Point

Bear & Bullについて。

Bear or Bullのような明確なトレンド(長期間に渡って持続する)は5年に一度くらい。

その合間には比較的持続期間の短い明確なトレンドが存在する。

 

pivotal pointの例

2,3年前に上場し、最大値が$10の銘柄であり、その高値は上場後だったとする。もしその企業に関連して何かしら好ましいことが起こり、株価が上昇を始めた場合、$10で購入するのは大抵安全なトレードである。

 

ある銘柄が高値と安値のレンジに収まっていたとする。

もしある時にその安値を下回ることがあれば、その銘柄は暴落する可能性が高い。

 

6. The million Dollar Blunder

Livamoreのトレード原理

1. 順張り: 購入価格は常に前回よりも高くなければならない。

2. 最初の購入価格を決定

→過去数週間の価格変動を調べる。pivotal point (そこに達すれば価格変動が本格的に始まる)に達したら、購入する。

3. 損切ポイントを設定する 

4, インサイダー情報を信用するな。

→インサイダーは大量の株を保有しているので、業績が悪化しても、売りのタイミングを教えてくれることは無い。

 

7. The three Million dollar profit

最後に興味深い示唆をしている。

現行(1940年)では巨額のポジションをとることは制限されている。

したがって、古い相場師の時代は終わったと言えよう。彼らの座は将来、一攫千金は狙えなくとも、中長期的により多くの利益を手にしてそれを維持できる準投資家にとってかわられるだろう。将来成功する準投資家は、絶好のタイミングに取引するだけで、結果的に大商全ての変動から、投機志向の相場師がかつて得た利益よりもはるかに大きな利益を実現するだろうと、私は確信している。

そういう時代が到来し、今も変わっていないように思える。